皆さんが本当に習いたいのは「滑舌」なのでしょうか?

「滑舌」だと思っているのが、本当が滑舌じゃないのかもしれない??

今回のテーマは、ずばり「滑舌」。です。なぜなら、ここ最近「滑舌」に関するレッスンのお問合せが急増しているからです。それに合わせて、案外うちのボイトレ動画は滑舌に関するものが少ないので、次回3本建てくらいで動画をアップしようと考えています。

ただ、最近の動画のアップの仕方は時間がかかるのと、以前みたいに適当にしゃべってアップすればよい。というものでもないので、台本をある程度作って、話をロジカルにまとめて、順序だてて離さなくてはならないので・・・なかなか大変です。

では、テーマに戻ります。

実は「滑舌を良くしたい。」と訴えてこられる方の多くが、滑舌以外の所をメインで鍛えたほうが良い方が、実に8割以上です。

まず誤解のないようにお伝えをしたいのですが、多くの生徒さんに初対面で

滑舌のどういう所がきになりますか?(滑舌がどうなると話しやすくなりそうですか?)
と尋ねますと、「はっきりしない」。「言葉が流れる」「ラ行が言いにくい」「人から聞き返される」「口があまり明けられていない気がする」
というように、子音(無声音)を思わせる発言をされる方がほぼ9割ほどに上ります。
いわゆる「滑舌」。舌の動きの鈍さなどが原因で、言葉が明瞭に聞こえない。
という意味合いのお話に近いのですが、そういった場合でも見させていただきますと、実は
「有声音の発声」(声帯閉鎖に主に関わる部分)
に問題があり、そちらをまず先に手入れしないと、本当の意味での「滑舌」の改善にならない。
という方が圧倒的に多いのです。
例えば、言葉が流れてしまう。という場合でも、舌の動きがはっきりしないので流れてしまうのではなく、母音がきちんと「固形」として発音できておらず、
顎に頼る動きになってしまっていることが大きな問題だと考えています。
その証拠に実は
滑舌の大きなトラブル(起因)には、舌に問題があるものと、顎に問題がある場合とで大きく分かれる。ということもわかっています。
もっともポピュラーなのは、「舌小帯(ぜっしょうたい)の短小」や「舌小帯が前側につきすぎている」などで、滑舌の改善が見込まれない場合や、
顎の不正咬合(骨格性開咬)などで、前歯で食べ物を噛み切ることが出来ない、サ行の言葉が特に聞きづらい
などの原因の物ですが、これらは、正直ボイストレーニングでどうにかなるものとは言えず、
もっとも難易度が高く、根本的な解決は難しい案件だというレベルということです。
ただ、こういった問題がメインで上げられるということを100パーセントだとすると、そこまでの方というのはめったになかなかお目にかかる機会も少ないので、
そこから逆に何パーセント減の方がいらっしゃるか、という所で見ていきたいと思っています。
長い間の喋り方や、食べ方、顎の使い方、の癖というのは赤の他人がお会いして 数時間で治せるものではないので、
難易度に合わせて、色々なアプローチが必要と考えています。
そういった場合に、皆さんが同じ早口言葉をただ練習するだけでははっきりいって改善の見込みは薄い。と考えているのです。
トレーナーとして、出来ることとできないことをはっきりと明示して、向き合っていくことが大事だと考えています。

 

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