歌がうまい人もナレーションがうまい人も持っている周波数帯。
実は、最近ボイストレーニングのレッスンに確実に科学を練りこんでいる宮島です。ボイストレーニングは確実に科学です。そして、ロジカルで、しかしながらロジカルだけではどうにもならない部分も持ち合わせている最終兵器ですね。
ボイストレーニングは、瞑想的要素も含んでおり、実に武道に通じる部分もあります。かといって、声帯そのものを作用させる力点理解などは実にフィジカルトレーニングに近いのです。
私がやっているボイストレーニングは実に「口で説明するにはもはや不可能な部分」を限りなく口で説明する究極の部分にまで来ています。
講師にもどうしてもこれだけは教えられない。
教えられない、というのは「秘策として教えたくない」のではなく、教えることが困難な事、という意味ですがそれは「歌がうまいとされる周波数帯の認知」です。
こういう人、いませんか?
音程が外れているわけでも、滑舌が極端に悪いわけでもない、まあ普通に聴くことは可能な歌い手さんだけど、なんか惜しいよね、この人。
っていう人。いませんか?
それが私が冒頭からお話ししている歌がうまく聞こえる周波数帯です。
実は、歌がうまい。という風に認知される声質、というのは時代を経て大きく変わっています。以前にも少しお話ししましたが、我々が音楽を聴く媒体が大きく変わり、低音や高音の存在意義も変わり、圧縮された音を認識して、それを本来の「低音」や「高音」と判断するに至り、もはやWAV仕様の音を聞くと、「古っぽい音がする」という若者までいるという話を以前エンジニアさんに聞いたこともあるくらいです。
私自身そこまではやりに乗っかれているわけではないですが、厳密にいえば
ボイストレーナーも現代の「好まれる音質」を知っていなくてはならない。という事は常日頃感じていますので、やはり年齢的にも多少限界は来るのかな。と思う事もあります。
お話を戻しますが、音質の事はともかくとして、先ほどのような「ちょっと惜しい人」
には何が足りないか?という事を講師が把握できなくてはなりません。
アイドルさんのようなグループボーカルの場合
ボーカリストさんが複数います。その場合まず私が一番に考えるのは声の仕分け。
■音圧は弱いが、ウィスパーでもきれいな高音が出るタイプ
■音圧は強く、シャウトやエッジの聞いた声は使えるが、音程が不安定だったりビブラートが使えないタイプ
■特に特徴はないがそつなく歌えるタイプ。
■合唱のような歌い方をするタイプ。
など様々いますが、まず私であれば「音圧が弱いタイプ」でも高音がきれいであればメインパートの一人にします。そして、音圧が強いが、音程が不安定なボーカリストは単音で長いフレーズはメインで任せ、音程の揺れが多いパートは歌わせないか、コーラスに回す。などします。
悪までバランスです。
ただ、2人しかいないような場合は、一人ひとりの歌のスキルをほぼ同等にしなくてはなりません。その際に必要なのは
自分の得意分野の声を認識させること、すなわち、リスナーから聞いて
これを認知させる作業です。
これは講師の力量にかなり左右されます。これが出来れば、他人がきいても「すごく歌がうまくなった」というレベルに普通の子でもある程度持っていけます。
ボイトレは科学と、経験と、本人の認知力です。最後に、
ボイトレが続く人と続かない人の違い。それは「変わりたい」か「変わりたくないか」以上です。この話はまた次回。次回男性と女性の感覚の違いについて書きます。
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